EPSでグラデーション

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前回、Affinity Designerに限らずAdobe Illustrator以外でのドローソフトでは互換性を考えるとグラデーションのあるEPSデータは使い物になりませんよ。という記事を書きました。

EPSってかなり古いファイルフォーマットなんですが、ストックイラストではまだまだ主役なんですよね。EPSがどうこうというよりも、Illustrator-EPSという形式がEPSの皮を被ったAIデータだからというのが原因な気がしています。ならAIファイルにすればいいじゃないかと思うんですが、それをすると今度はIllustrator以外のソフトを使う利用者さんを逃がしてしまうからなのかなあと…。
だからまあ、今後もEPSが主流なんじゃないですかねえ……。
なのでEPSファイルを互換性を持つ完全なベクター形式で作成するには、透明やグラデーションは使わずに作成する必要があります。

でもグラデーションくらい使いたいですよね。そんなわけで手段を探しました。Affinity Designerでは無理でした(完
でも、Inkcapeを使えばなんとかなりましたよ。

Inkscapeとは?#

OSS(Open Source Software)の、非常に多機能なフリーのドローソフトです。
ソフトって多機能なだけじゃダメなのねと思わせてくれます。個性的。

機能を拡張するエクステンションというものをユーザー側で作ることができ、色々なものが公開されています。
そのエクステンションの中に、グラデーションつきのEPSを作成するというものがありました。

Inkscape AI compatible EPS exporter#

こちらでPrim Andrásさんという方がInkscapeのSVGデータをIllustrator7形式のEPSファイルに変換するエクステンションを公開して下さっています。

Illustratorは過去にファイル仕様を公開していたことがある#

Illustrator9以降ではファイルフォーマットは暗号化されていますが、Illustrator8まではEPSと同様テキスト形式で、その仕様も開発者向けに公開されていました。
その当時に、資料をもとにversion7形式のIllustrator-EPSとしてInkscape-SVGのグラデーションデータを変換するエクステンションを作ったそうです。
その当時にはまだ透明はなかったのでグラデーションのみですが、これを使用するとIllustratorでもラスタライズされずにグラデーションを保持できます。

導入方法#

Inkscapeのインストールと操作方法自体は割愛します。公式サイトのインストーラーをどうぞ。

まずは作者さんのGitHubのページに行き、右上の”Clone or Download”に続いて”Download ZIP”を選択し、圧縮ファイルをダウンロードします。

圧縮ファイルを展開してできたaieps_output.inxとaieps_output.pyの両方を、Inkscapeのエクステンションフォルダに移動します。
Windows:C:\Program Files\Inkscape\share\extensions
Mac/Linux: /usr/share/inkscape/extensions(または ~/.config/inkscape/extensions/ )
MacとLinuxについては確認してませんごめんなさい。
これで準備は完了です。

使い方#

Inkscapeを起動して、epsに書き出したいファイルを開き、メニューから「ファイル - 名前をつけて保存」を選択します。
「ファイルの種類」の選択肢の中に「Encapsulated Postscript - Ai compatible (*.eps)」というのがあるので、それを選んで保存すれば完了です。

もともとあるepsへの保存も存在するので、間違わないように注意しましょう。

書き出したいファイルはSVGではなくPDFでInkscapeへ渡す必要あり#

このエクステンションは、Inkscape独自のSVGデータをepsに変換してくれるのですが、Affinity Designerで書き出したSVGファイルを読み込んだ場合、内部でInkscape用のデータに変換せずそのままのSVGの構造を使う為、変換がうまくいきません。

最初からInkscapeで作成する場合は意識しなくて良いですが、Affinity Designerなどで書き出したデータを変換する場合はPDFで書き出して渡すようにすると、Inkscapeが読み込んだPDFを編集用に内部でInkscape独自データに変換してくれるのでうまく変換することができます。
最初気づかなくて小一時間悩みました……。

正直そこまでしてEPS使わなくても……#

現状PDFとSVGで問題ないので、他のソフトを経由してまでEPSにする必要性はないです。
あるとすればEPSしか受け付けていないマイクロストックサイトに投稿する場合でしょう。Inkscapeでもこのエクステンションを使う人の殆どはマイクロストック(ShutterStockやAdobe Stockが多い)に投稿するために使用しているようです。
他のソフトを経由する分手間が増えますが、その分表現の幅が増えます。
本当は、誰もが使用できるオープンなフォーマットでファイルをやりとりできるのが一番だと思うんですけどね。